遠のいてゆくしかないのだわ

どこへいくにも車をつかう田舎もんの私ですが
車には弱点があります
どきどきするなにかをみつけてしまったとき
立ち止まって、ゆっくり見たいのに、それがままならない。
ちょこっと止めるスペースがあればまだいいけど
たいがい、キョウミの対象のほど近くには無いときている。
びっしりハクチョウがいる時なんてすぐさま止める場所を探すけど
うしろからダンプが迫ってきていたり
細い農道だったり。うむむ
運動神経が足りないのかしら。


今日、信号待ちでふと目にとまったもの
真っ赤なモミジ、かとおもいきや
「メグスリノキ」って書いてある
ああ、読みたい観たい触りたいにおひ嗅ぎたいうぎゃー
信号アオ
後ろの車プだって。
あの早く行けクラクションってやだよね
びくっとする
わたしはクラクションを鳴らしたことがない
ってか、会社の車、クラクションどこだかわからん。


この便利で不自由な大きなおもちゃに
三日に一度満タンにご飯をあげている
やっぱ、走りすぎだよねぇ
ほんと路上生活。


そもそも、規則正しくみんなでルールを守るなんて向いていないんだった
左側を走る
急にとまらない
ウィンカーを出す
気まぐれで動かない
右折レーンに入ったら絶対右折しなくちゃいけない
こーゆーの、一番嫌いなんだった。


綱から解き放たれたイヌコロのように
気ままに
クンクンしながら
てけてけと
歩き回りたい衝動に駆られる


だからって電車通勤には戻せないなー
40分に一本じゃあね。お話にならん。


すごく近くにいるのに
遠のいてゆくしかない
ガラス越しに
メグスリノキを目のはじっこでかろうじて感じながら
進んでいくしかない
このもどかしさはあれに似ている。
あれに。